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駿河屋の福袋

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2014年01月31日

福袋に取り憑かれた女(13)

「おぉ、下敷き……」
 中学生になってから全然使わなくなった下敷き。だが、小学生のときは必需品だった。鉛筆だとなぜか、下敷きなしで書くとページが汚れてしまうからな。
 アニメの下敷きはおそらく中学生から高校生を対象にして販売している。だから実用品ではなく。観賞用なのだ。しかし、この枚数……多い!
 一枚一枚の下敷きなら、なんてことはない。二十枚も集まったらかなりの重さだ。一枚二百五十で二十枚だと五千円! うひゃー、たまらんぜ。
 絵柄は十五年ほど前にはやったアニメ。当然、俺はほとんど知らない。
「……売るか?」
「売ろう!」
 だよな、いらないものは売ったらいい。こういう下敷きなんかも好きな人は好きなはずだ。今ではどこでも売ってないからな。いやぁ、ヤフオクっていいなぁ。
「ちょっ、これ! ハル……ヒ?」
 あの涼宮ハルヒの憂鬱か。それのTシャツだ。……これ、もしかして三千円ぐらいするんじゃねーか。
「ちょっと、ググる」
「好きねぇ、ググるの」

 ……おうっ!
 くそっ! 調べたぜ。なかなかヒットしねぇ。詳細を得るまで三十分ほどかかった。気分はもう探偵だ、ちくしょう!
 なんて別に腹が立っているわけではない。興奮しているのだ
 これは角川文庫の『二〇〇七 角川文庫 発見。ちょっくらぶ』対象商品(もちろん本)を二冊買い、そこのサイトにアクセスするとブックカバーが貰えるという。そのときの抽選でもらえるTシャツのようだ。
 普通にレアじゃねーか。なんでこんなもんを四百八十円の福袋に入れちゃってんの? 駿河屋。
「ま、まあいい。何名様に当たるかまでは調べていない。もしかしたら全プレだったかもしれないし。そうだとしたら価値は低いか……まあ俺もみほもこのTシャツは着れないな。着る勇気がない。次、行こうか」
「修一! またTシャツあったよ、ほら!」
 今度は黒地だ。ハルヒのは白地だったからな。……ん? 字か? でかでかと書いてやがる。えー、『初音島に住んでます』だって。……なんのこっちゃ?
初音ミク? ……初音って聞くとどうしてもミクをイメージするんだが。とは言っても俺はそれほど初音ミクに詳しくない」
「じゃあ調べたら? あんた好きでしょ?」
「むぅ、気になったらとことん調べる性分でな。なんて、普段からそうじゃないんだが、こういうどうでもいい福袋の疑問はどうしても調べたくなる。福袋になんか負けるかって気持ちなんだろーな。あぁ、待ってろ……」
 ――そして、五分後。
「サクラサクD.C.III〜ダ・カーポIII? に関係あるんだってさ」
「なに、それ? もう一回言ってみて」
「さくらさく、ディーシー、ダ。カーポさん? スリー? ……よくわかんねぇよ」
「自分の知らないジャンルの商品が届くってある意味すごいよね。毎度勉強になる」
「Tシャツは高そうだな。心なしかTシャツが二枚入っている箱はプチプチが余計に入っている気がするぞ。水増しか」
「いいじゃん。四百八十円でTシャツ二枚の時点ですでにお得なんだしさ」
「だよな、普通に……次、行くか」

 イナズマイレブンの下敷きが十五枚ぐらい出てきやがった。ミニ下敷きか。イケメンとそうでない奴との差がひどすぎる。こりゃあ人気はきれいに二つに分かれるだろうよ。
 ナツコミ2011? ……なんだ、この丸メンコでも入っているような銀の袋は。未開封か。……開けないほうがいいだろう。これも売れそうだな。
 おっと、集英社繋がりで少年ジャンプのトランプか。非売品?
 調べるか……二百円ぐらいの価値。最近、価値ばっかり気にしているな。トランプなら百均ので十分だからな。このトランプはサイズが小さいよ。
「おい、るろうに剣心のフィルムだぜ……これって高くないか?」
「フィルムってさ、実際に使われたフィルムなの?」
「そうじゃね? ……いや、知らないけど」
「映ってるの剣心だよね。かなりいいショットなんじゃない」
「だよな。しかも今気づいたけどこれ、売ってるやつだし。四百円。だったら左之助は二百円とかか? そうしないと売れないだろ。雑魚の敵キャラとか十円でもいいところだぜ。やっぱり量産のフィルムだよ」
「アニメって深いよね。わからないことばかり」
「これでもちょっとは知ってるつもりだったんだがな。深いな、マジで。数年前に実写の剣心あったじゃん? だから今、人気すごいんじゃねーの」
 次はすごかった。しおりふうにしたフィルムが五十枚ほどあった。枚って言っていいのかわからんが。
「多すぎだろ。やべっ、興奮してきた。なんのアニメ?」
「アニメじゃないみたいね。見る?」
「あぁ」
 みほからフィルムを受け取る。……実写か? コンビニのシーンが映ってるな。あ、これもコンビニのシーン。……コンビニのシーンばっかりじゃねぇか!
「しおりを入れる袋が四枚ほど一緒に入ってるな。……銀のエンゼル? そういう映画があったのか。ふーん」
 この枚数はすごいな。ファンならきっと欲しがるだろう。レアだな。
「キューピー零戦。キューピーが零戦になってら。すごい組み合わせだな。発想がすごいよ」
「これはキューピーファンも軍事ファンからも支持がありそうね」
「すべてのことに言えるんだが、興味のない人にとったら本当にどうでもいいものだよな」
「同感!」
posted by サイコー君 at 06:09 | Comment(0) | 福袋に取り憑かれた女(自作ラノベです) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月30日

福袋に取り憑かれた女(12)

 ――というわけで五日後に雑貨の福袋が四箱、みほの家に届いた。
 俺はいつもより緊張してみほの家を訪問する。息遣いが荒かった。
 みほも目が血走っていた。獣を追う目だ。野生の、ハンターのような。
 実際、駿河屋の福袋は宝箱みたいなものなので、そういう気持ちになるのも頷ける。しかも損することは……ない。確実に四百八十円以上のものが入っている。俺は十倍の五千円分ぐらいの価値があるのではと思っている。
 そうそう、らんま1/2のカードについてたが、ようやく落札日を迎え、結局六千円で落札された。超ラッキーだぜ。なんとも羨ましい。
 まさか今回もするのか? 転売?
 みほがギャンブルにはまったら大変そうだ。まだ駿河屋で楽しんでるだけのほうがずっといい。
「は、入るね。じゃあ」
「お前の家だろ、普通に入れ。あとからついていくから」
 なに軽く混乱状態になってんだよ。自分んち入るのにインターホン押そうとするな。
「た、ただ今ー。お、お母さん、駿河屋から荷物届いたー?」
 カミカミじゃないか。駿河屋って言葉がこの家ではもう普通になってるんだろうな。一般人だったら羊羹のほうをイメージするぜ。
 みほの部屋に入ると、中にはダンボールが四箱。
「うお、すげぇ。いきなりか……前のマンガ五百冊のときは玄関だったのにな」
「軽いからね。本と比べたら」
「よし、ちょっと持たせてみな。……よっ!」
 四箱、持ってみてわかったことがある。重さにかなりバラつきがあることを。
 軽いのはたぶん衣類系が入っているんだと思う。前回のワンピースのクッションのようにな。
「……これが一番重いぜ。こいつから行くか? ニヤリ」
 思わずにやけてしまった。まあ開封する順番なんてぶっちゃけどうでもいいんだが。最後には全部開けるんだし。
「よし、じゃあそれから開けよう」
 中からグラスが出てきた。コップともいう。重い正体はこれだった。
 一つや二つではない。八個ほど入ってた。
「コップか……使い道ねーな。しかもビール系が多い。ディズニーのコップは絵柄が全面に出すぎてて使いにくいよ」
「はずれ……? でもたくさん入ってる。小物とか」
「そりゃあグラスだけじゃあ格好つかないからな。ん? 箱に小物を入れているパターンが多いな。箱は小物入れとしても使える。けっこうお得かも」
「小さい箱ね。わたしは特に使い道ないわ」
 目についたのはガチャガチャのフィギュアなどを入れるケースがあったこと。その中にはグラスが二つ狭そうに入っていた。
「おい、ここに入れるか? すごいセンスだぜ、駿河屋」
 ガチャガチャも何個か入ってた。食玩か? ビニール袋に入れられていたらよくわからない。でも一つ気に入ったシリーズがあった。消防車シリーズだ。
「かっこいいな、これ。ちょっと不謹慎かもしれないけど。四つあるのか? ……リアル。すげぇ、欲しい」
「売ってあげるよ。一個二十円」
「……まあまあ妥当な値段だな。ウルトラマン系も多いぞ。お前、こういうのは好きじゃねーの?」
「わたしは……これかな?」
 アザラシのストラップみたいなガチャガチャか……。女の子ウケしそうなデザインだ。マジ、男女楽しめる作りになってるよな。ちゃんと考えてんだ、すごいわ。四百八十円なのに。
 あとはマクドナルドのおもちゃとか……食玩、ガチャガチャが多いかな。
「おっと待て! 駿河屋!」
「どうしたの?」
「バッチだ。すげぇある。五十個ぐらいあるぜ」
「本当だ。……マジハンパないよね」
「あんまり知らねーな。乙女ゲーのやつか? もしくは同人? 男の俺がほとんど知らないんだからな。あ、どさぐさに紛れてルフィのバッチが四つぐらいある。こんなにバッチ付けてたら服が穴だらけになるぜ」
「北斗の拳のぬいぐるみキーホルダーだ。しぶぅー……」
「しかも南斗五車星か。ケンシロウとかレイとか、まったくそういうのないし」
「じゃあジュウザばっかり人気が集まるよね」
「……俺はお前のレパートリーがよくわからんのだが」
 続いて二箱目を開ける。とにかく開けたい。まずは全部の箱を開けて、それからゆっくり見ることにした。
 気になるものだけを話題に取り上げる。いくぞ!
「おっと、でかい。これ、カードフォルダーだよな? ピタてん? ……ようわからんが、商品自体はしっかりしている」
 三十ファイルぐらい付いているのか。ほとんど使われた形跡がない。一つのファイルに十八枚入るから……五百枚ほど入るのか。すげぇボリューム。こんなの百均じゃあ到底出せないクオリティーだ。百均のはビニールが脆い。表紙さえ気にしなければすげぇ優れものだ。
「腕時計……? なにこれ、アニメとか関係ないじゃん。普通の腕時計だ。うはっ! セーラームーンのシールがある。みほ、これってらんま1/2のときみたいにならねぇかな?」
「いいんじゃない。セーラームーン、有名だしね」
 宝の山だな、ここは。他にもたくさん出てきそうだ。……聖闘士星矢のメンコ! キタコレ!!
「すっげ、うわ、すっげ!!」
「なによ、うるさい。メンコぉ? ……メンコってなに?」
「いや、メンコはメンコだろ。その昔、スマホもケータイもない時代がありました。PSPもDSもない時代です。あるのはファミコン。だから子どもたちは外でよく遊んだのさ。メンコ、ビー玉。そう、親戚の兄ちゃんから聞かされた。……うわっ! 聖闘士星矢デラックスカード! なんかこの紙袋のチープさがいい! しかも未開封だ。なんで? どういう経緯で未開封のまま保存されていたわけ? 一度も開けたいって衝動に駆られなかったの?」
「なに一人でブツブツ言ってんのよ、気持ち悪い……」
「エヴァンゲリオン ICカードステッカー! ……う、なんだこれ? しかも非売品? え、これどうやって手に入れるものなの、本来なら」
「わからないときは……?」
「「ググる!」」
 ……はもった。久しぶりに。
 調べたら一枚二百円ぐらいの価値があることがわかった。それがなぜか四枚ある。得した気分だ。
「わぁっ、重っ!」
「どうした?」
 みほが手にしていたもの、それは下敷き!
posted by サイコー君 at 16:01 | Comment(0) | 福袋に取り憑かれた女(自作ラノベです) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月28日

福袋に取り憑かれた女(11)

 ――一日がたって、みほが俺に言った。そこは学校の教室だった。
「修一ぃ、売れたよ。あのカード」
「売れたって、入札がついたのか? いくら?」
「まだ三百円だけど」
「三百円……じゃあ入札一だな」
 オークションでは競い合う者がいて、初めて値段が吊り上げられていく。だが、欲しい人が一人だったらいつまでたっても値段は変わらない。結果、三百円で落札となるわけだ。
 みほは送料や発送のトラブルを避けるために送料を無料にしたようだ。メール便は八十円か、百六十円。それに手間も考えたら儲けなんかないに等しい。
「まだ四日ぐらいあるんだっけ? 運が良ければまた上がるってさ」
「また上がったら雑貨の福袋欲しいな〜。ルンルン♪」
 お前の頭は駿河屋だけかっての。
 その夜、みほから電話がかかってきた。
 なんだろう? いくらか声は慌てている印象だった。
「しゅ、修一?」
「あぁ、俺だよ。どうした、なにかあったのか? そんな辛そうな声して」
「違うの。らんま1/2が……いつの間にか千五百円になってる!」
「千五百円?」
 ほとんど捨てる間近だった、あのらんま1/2のカードが……千五百円。
「カードはやはりいつの時代でも高値だ」
 それは手頃なサイズだというのが理由だろうか。種類が多くて集めがいがあるというのもある。
 集めるのが楽しいのだ。今では普通に買って集めることはできない品物。希少と言えば希少だ。一部の人たちにとってだが。
「千五百円……やるなぁ。これで送料分引いても十分にプラスだ。しかもお前、ほとんど手間かけてないな。なんだこの、『カードセットです。中古です。よろしくお願いします』ってのは。三行で商品説明終わってるじゃないか」
「こういうのはシンプルなほうがいいのよ。オークションストアなんか情報が多すぎてワケがわからないでしょ。ああいうのって買うときも大変なんだよ。オーダーフォームに情報を入力してさ」
「そっか、シンプルだからこそいい……かもしれん」
 さらに二時間後、みほからメールがきた。
 メールを読むと二千百円に上がったって。あのカード、もう少しで捨てるところだったのにな。
 んー、今回は駿河屋にも驚かされたがヤフオク利用者にも驚かされたなー。欲しい人は欲しいんだ。駿河屋も自分のとこで売ったらよかったのに。四百八十円が二千百円か……しかも価格はまだまだ上がる余地あり。一体いくらまで上がるんだろ、俺も楽しみになってきた。……あー、これであいつ、ますます味をしめただろうな。今度はもっと買いそうだ。

 ――買った。買ったんだって、四箱も。
 翌日、学校で。
「アホか、お前。四箱も買ってどうする?」
「だぁって、それでも二千円いかないんだよ?」
「いや、安いのはわかるがな。……安い、確かに安い。それはもう『駿河屋さん。本当にこの価格であってます? 間違って安くしすぎてませんか?』って言いたいぐらいにな。しかし四箱はさすがに……ってか、よく買えたな。制限とかに引っかからなかった?」
「うん、大丈夫。わたしもそこだけ心配だったんだけどね。まぁー、二個は買えるだろうと思ってたの。で、試しに三回目注文ボタン押したら買えたの。で、さらにもう一箱欲しいなーって思って」
「押したら買えたの、か」
「そう」
「まあ、そのときは家に呼んでくれよな」
「なによ、珍しい。自分から行きたいなんて言うのって初めてじゃん?」
 そりゃあ、四箱も届くんだ。同時に。
 どんなカオスな状態になるんだ。もうワケわからん。一箱でもあんなにワクワクできるんだ。それが四箱……しかも二千円かからない。
 駿河屋、あんたはどれだけ客を喜ばせるつもりだ? こんなの……最高じゃねーか。
posted by サイコー君 at 05:54 | Comment(0) | 福袋に取り憑かれた女(自作ラノベです) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月27日

福袋に取り憑かれた女(10)

  2 トレカと雑貨の福袋

 みほの家に来て、俺は彼女の部屋にどっかりと座った。
「さあ、見せてもらおうか」
 最初に見せてくれたのは遊戯王カード千枚。これが九百八十円だと。
「……でも、本当は千二百八十円だったんだよな?」
「そう。駿河屋が三日間とか連続でセールしたときなんか、最終日のタイムセールで売れ残った福袋を値下げして売り出すの」
「なかなかおもしろいシステムだよな、それって。でも最終日以前にもその福袋は発売されていたんだろ。だったら千二百八十円で買った人ってたまんないだろな。きっと九百八十円でも買ってナンピンするんじゃないか。二つ買ったら一つの値段が千百三十円になるからな。そうしたらちょっとは損した気分も減るだろうし。さらに買うほど平均取得単価が九百八十円に近づく」
「やだ、それ株?」
「お前の買った福袋の株本な。あれ、読んでるから」
 というわけでそれほどというか、まったく興味のない遊戯王カードを開ける。別に全然ワクワクしない。
 千枚……例えるなら五百ミリリットルのペットボトルを二つ並べたぐらいの高さと横幅だ。普通遊戯王カードは五枚で百五十円。単純に考えて千枚新品で買おうとしたら、かけることの二百倍してやったらいい。……三万か。とんでもない額だな、おい。
 どんなけ遊戯王カード売れてんだよ。作者丸儲けだな。
 しかし、これで経済が回っていると考えたら大したもんだ。
「ん、ちょっと貸してみな。どんなカードが強いのかわかんないだろ? 俺、ガキの頃少しやってたからわかる」
 遊戯王には昔のカードでも強く、今でも使われているカードもよくある。いわゆる汎用性のあるカードだ。そういうのなんか入っているかもしれない。
 カード屋じゃああまり高く買い取ってくれないからな。ある程度いいカードがあったらオークションに回せるんだが、オークションだと送料がかかるのがネックだ。あと、振込手数料。合わせて三百円近く入札者に負担がかかる。それほどまでして貴重なカードがあってほしいものだが……ないな。
「――ダメだ。完全にダメってわけでもないが価値は薄い。親戚の子どもとかにあげるのがいいかもな」
「でもこれでカード部門クリアだから」
「マジで全ジャンル狙ってんだな。じゃ、次いこうか」
 トレカは盛り上がらなかった。次は雑貨の福袋だ。これは四百八十円で購入したという。
「安いよな、四百八十円。でもなんでこんなに箱がでかいんだ?」
 かなり大きめの箱。商品の詰め合わせなので、この箱にギッシリ物が詰まっていのか。そう考えると四百八十円はとても安く感じる。
「これも中身次第だけどな。開けてくれ、心の準備はできた」
「うん、開けるよ」
 まず一つ目。それは一番上にあるもの。……な? こっ、これは?
「団扇か。それも巨大団扇……夏にはいい感じに活躍してくれそうだ」
「関ジャニ? 知らない」
「女子なら知ってるもんじゃないのか?」
「だったら修一はAKBの人、全員知ってるの?」
「いや、知らん。一人も名前言えん」
「でしょ」
 たぶん買ったら五百円はするだろうな。これが雑貨か。なるほどね……。
 ん? 次はビニール袋にいろいろ入っているな。なんだ、こりゃ?
「開けてみねーか?」
「うん、ドキドキ……」
 自分でドキドキって言うなよ。ドキドキ……。
「あ、これワンピースだ。ワンピースの靴下!」
「新品だな。タグっつーか、新品仕様のごちゃごちゃしたもんが付いてやがる。一足や二足じゃねぇ……何足入ってるんだよ?」
「待って……八、九、十。十! 十足も入ってた。しかも一足三百八十円!」
「マジか? だったら靴下だけで定価三千八百円? しかもけっこう新キャラのローまでいるじゃねーか。手放した人間か会社はなに考えてんだ? 処分するならこんなに買うなっつーの」
「よく見たらベジータもある。ジャンプくくりね……」
 びっくりだよ。雑貨はすげぇ幅が広いな。今までムック本がジャンルの幅広ぇと思っていたが、あれはすべて本だ。だが雑貨はいろんなものを雑貨と呼ぶ。もうなにがなんだかわからん。団扇、そして靴下……次はなんなんだ?
「頭が……混乱する?」
「大丈夫? ちょっと休憩しようか?」
「いや、いい。さあ、続きを見せてくれ」
 ミッキーの皿。しかしこれはなにかを盛るタイプのものではない。そういう器の形をしていなかった。たぶん鑑賞用だ。
「使わねーな……次」
 ごちゃごちゃした小物がたくさん出てくる。両さんのキーホルダーとか、深イイの電池切れのおもちゃ。――これなんて、電池が切れていたらただの飾りにしかならん。中途半端な。
 知らないアニメの水着姿の姉ちゃんのペンケース。こんなもん学校に持っていけるか!
 黒人のボクサーらしいストラップ。これはかっこよかったが、俺はストラップを付ける人じゃねぇ。ポケットがパンパンになって嫌だ。
 よくわからないアイドルの写真。古い、それに俺はそういう情報には疎い。まったく意味のない品だ。やはり福袋は人を選ぶ!
 赤色の派手なハンドタオル。……うん、こういう実用的なやつがいいな。これだけで百円はする。派手ささえ気にしなければ使える。
「……これ、なに?」
 目に留まったものは抽選プレゼントの時計。……これってレアなんじゃね?
 戦隊ものだった。あとでヤフオクで調べるか。抽プレとか入ってんだな。すげぇぜ、雑貨の福袋。
「なっ……これは???」
 完全に不意を突かれた感じ。ここで普通のズボンってなによ。
 サイズのシール、タグが付いているので新品だ。それなりにかっこいいズボンだった。
「なにかのアニメ? ……いや、わかんねぇ」
 ぬいぐるみを入ってあった。マイメロとあとわからんのが二つ。雑貨はぬいぐるみも含まれるのか。またみほの家族が増えちまったな。しかもけっこうでかい。
 で、ラストが……けっこうでかいな。ダンボール箱の八分の一ぐらい占めてやがったな。
 それはポケモンのお絵かきセット。
 マジか……これだけで千五百円はするぜ。ビニール袋に入っている。新品か?
 みほが中を確認する。
「違う。中古よ。でも、使い方がとてもきれいだったみたい。説明書とか付属品は全部付いてると思う」
 これも新品ならすごかったんだがな。しかし、たくさん入ってた。個人的には靴下十足がツボだったな。子ども向けじゃなくて大人向けの靴下だったら俺もほしかったところだ。
「――って、お前。なに出してんの? まさかお絵かきするの?」
「えぇ。なんか懐かしいから。これって型どったプレートを紙の上に乗せて、トントンって感じでペンをつっつけばいいのよね?」
「おお、確かそんな感じのような……」
「ふふ、トントン。ちょっと楽しいかも……あれ?」
 ポキッ。
 ……なんか折れたな。
 ポキポキ。
 ――嫌な予感しかしない。
「みほ、その音って?」
 泣きそうな顔をしてみほが、
「壊れたぁ〜」
 すげぇオチだ。でも靴下十足(しつこい)とズボンだけでも四百八十円の価値はあった。駿河屋の雑貨福袋、侮れないな!
 よほど雑貨の福袋が楽しかったのか、みほはまた雑貨の福袋を買った。一緒に開けたその日のうちに注文した。
 送料を無料にするためにハチワンダイバーを買っていた。あれ、面白いもんな。俺もあとで読ませてもらおう。
 最近、みほが新しくやり始めたことがある。それはブログだった。しかも駿河屋オンリー話の内容だ。そんなもん誰が読む?
 しかし、すでにやる気のみほを俺には止められない。ま、金もかからないしいいか。
 福袋の画像を載せては一つ一つにコメントを加えていた。「これがよかった」とか、「こいつはいらない」とか。俺と話している内容とかぶっている。
 みほが今までの駿河屋の経験をブログで更新しているうちに、もう駿河屋から次の雑貨が届いた。
 マジ? 早くね? ってことは注文してからもう五日がたったのか。慣れとは恐ろしい。
 初めは五日? 超遅ぇー、なんて思っていたのが、今では「早いな」である。余裕のある人間に成長したということか。さすが駿河屋だ……。
 この日、俺はみほの家に招待され、一緒に福袋を開封することに。お決まりのパターンだ。
「じゃ、開けるね……」
「おう」
 もうある程度慣れたが、やはりこのときだけはドキドキする。商品が同じだってことはない。毎回なにか驚かされる。そういうのが雑貨の福袋にはあった。今回の福袋は……なんだ?
「なんだ、これ……クッションか。枕みてぇだな」
「クッションよ。このアフロ、見覚えない?」
「ない」
「じゃあ、この『ドーン!』は? これならあるでしょ?」
「そりゃあ、ドーンと言えばワンピース……あっ!」
「思い出した?」
「そうだ、あった。ルフィがこのアフロカツラつけてたのを見たことある! でも、これけっこう大した作りだぞ。普通に買ったら二千円はするだろ」
「それを四百八十円の福袋に入れるなんてさすが駿河屋、でしょ?」
「このクッション一つだけで元が取れてるな。どんだけ良心的なんだ」
「次は……これ、なんだろ?」
「シューズ入れとかじゃないか。大きさ的に……あっ!」
「これ、ブラックジャック!」
「いいセンスじゃないか。ブラックジャックなら大人が使っても恥ずかしくない。おしゃれなアイテムだ。……いいなぁ」
「へへ、いいでしょ。だったら修一も雑貨の福袋買いなよ」
「いや、いい。こういうのって一品ものだから。狙って当たるもんじゃないだろ」
 でかい袋にボトルキャップが大量に入っていた。ジャンル問わずだ。猿の惑星が入っているのが嬉しい。
 雪だるまのオブジェ……これはいらないな。はずれだ、でかくて邪魔だし。シーズンが合っていればいいってもんじゃない。サンタクロースのオブジェもなんかにごってるところあるし。雑貨とは対象の幅が広いな。なんでも雑貨でくくれられる。
 犬のキャンドルだ……珍しいけど、ちょっとグロいか。火をつけたら顔面から溶けていくんだろ。えげつねぇ。
「今回は細々したもんが多いな。ワンピースのクッションでスペース取ったからな。数はこなさんといかんのか」
 他にもたくさんあったが小物ばっかりなので、いまいちコメントがしづらい。上等なレターセットみたいなのが二セットあった。これもお得! お友達帳もあったが、ちょっと子どもっぽいので使えない。
「さて、これはなんだ?」
 もう最後か。俺が手に取ったものはらんま1/2のカードだった。
「カード? ……ラミ加工されているな。あっ、これがラミカードってやつか! 初めて見たな。これ確か一枚百円するんだぜ。それが二十四枚か。定価で考えると怖いな。これだけで二千四百円か」
「他にもあったわよ。ラミ加工されていないカード」
「おう、サンキュ。……これはカードダスとかピーピーカードっていうやつだな」
「ピーピー? ピーピーカード?」
「って言うんだって。俺の親戚の人が昔こういうの集めていて、家に行くたびに自慢話聞かされたっけ。ピーピーのピーはなんて意味だったのか聞くのを忘れていたよ。Pのピーだっけな」
「今回もボリューム満点だったわね」
「クッションがメインみたいな感じだったけどな」
「あとブラックジャック」
「そうそう。あれはいいよ。当たりだよ……でもさ、このらんま1/2のカード。もしかしたら売れないか? ヤフオクで」
「ヤフオクでぇ? まさか、そんなのほしい人っているの?」
「いるさ、アニメをバカにしちゃいけない。子どもの頃に受けたアニメの影響が大きいからな。らんま1/2で育った大人が懐かしがって買ってくれる可能性大さ」
「そう? じゃあ試しに売ってみようかしら。父さんの名義で」
 そんなわけでらんま1/2のカードをセットで出してみた。どうせ売れても大したことはないだろう。五百円か。それだけもらえれば十分だった。なにせ時代が時代だからね。
 ……なんて考えは甘い。俺たちは大人のアニメ好きを侮っていたようだ。
 大人は財力がある。子どもの持つ千円は大人にとったら十円ぐらいの感覚。客としてはこれほど最高な客もいなかった。
posted by サイコー君 at 03:58 | Comment(0) | 福袋に取り憑かれた女(自作ラノベです) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月24日

福袋に取り憑かれた女(9)

「終わった、五十冊……ジャンルの幅が広すぎて疲れた」
「男の人でも女の人でも、それなりに楽しめる分配だったね」
「あぁ、それは見事だったな。しかしパソコンとサッカーがいらねぇ」
「さっき言ってた本、ヤフオクで売る?」
「美術館のやつな、あれはヤフオクのほうがいいだろ。他の雑誌はほとんど価値がない。ブックオフオンラインで売るか。ネットオフじゃあ雑誌は買取対象だからな」
「わたし、ブックオフオンラインで売ったことないや。宅配買取?」
「――のほうがいいだろ。近くにブックオフの店舗はねぇし。電車代も回収できないと思うよ。宅配買取のほうがいいって、絶対。……もしくは人にあげるか、捨てるかだな。パソコン本なんて絶対いらないし」
「……まとめてブックオフオンラインに売る」
「そのほうがいいな」
 これでみほの奴もだいぶ満足しただろう。そして、もうそろそろ飽きただろう。
「な、だから福袋って最後は後悔しちゃうんだ。美術館の本は高く売れそうだが、他の奴はまとめて百円いくかいかないかだと思うぜ。売るのには手間もかかるしな。もう福袋は卒業できそうだろ?」
「……うん。たぶんホビージャパンとムックの福袋は買わない」
「じゃあ、他の福袋は買うってか?」
「うん。全部の福袋買ってみたい♪」
 こいつ、マジでやべぇ。

 ――それから五日後、またみほは福袋を買ったらしい。
 駿河屋は注文して商品の到着まで平均五日はかかる。だとすると、例の三つの福袋を開けたその日に注文したってのか。ちょっとは間を空けろよ。
 学校でニコニコしてこっちにやってくるのは大抵が駿河屋のことだ。で、より笑顔に輝きがあるときは福袋が家に届いたとき。もう慣れた。このパターンだな。
「よっ、修一! 今日も家に来ないかね?」
「テンション高けーな。どうせ駿河屋の福袋だろ? 今度はなにを買ったんだ?」
「ちょっと女の子っぽいもの……今回は修一は楽しめそうにないかもね」
「えっと、BL?」
「違う! ぬいぐるみ!」
 ぬいぐるみか……そっか、そんなのも扱ってたな。
「でも中古なんじゃないか? いいの? 人が触ったぬいぐるみで」
「うん! そんなめちゃくちゃ汚れてるやつは送ってこないと思うよ。前の持ち主がなんらかの理由で処分したんじゃない。きっとそのぬいぐるみは新しい持ち主を探しているわん!」
「わかった。じゃあ行くよ……俺が行く意味あんのかな」
「来て来て! 待ってる!」
 ま、いいか。あんだけ喜んでんだもんな。行ってやろう。

 授業が終わり、俺たちはそのままみほの家へ直行。これも相変わらずのパターンだ。
 部屋に入るとやや大きめの箱が置いてあった。
「けっこうでかい……何個入ってんだ、これ」
「数は書かれていなかったかな。詰め合わせって感じ」
「これ、いくらなの?」
「七百八十円」
「安いな。中身にもよるけど」
「買ったのは中古福袋アニマル系ぬいぐるみ 箱いっぱい詰め合わせセット! だからミッキーとかチョッパーは入ってないよ」
「なるほど、じゃあさっそく開けてみっか」
 ガムテープを剥がすのはみほ。この瞬間が一番楽しいんだろうな。
「わぁ……」
 箱の中はぬいぐるみだらけだ。ん? なんかやたらとでかいのがいるな。
「犬? このでかいの……」
「っぽいね。メインのぬいぐるみなのかなぁ。まずは周りのコたちから見ていこうか」
 最後は楽しみにとっておくってか。いいだろう。ぬいぐるみの当たりはずれはなかなか判断しにくいな。
「まずは……犬! 骨咥えてる犬!」
 それなりにでかい。百一匹なんとかってやつかな。犬種的に。状態はまあきれいだ。目を閉じているな。惜しい、それだけでちょっとマイナス点だ。
 イルカ、亀、芋虫、クマ、犬、ブルドック……。
 どれも普通な感じ。これといって良し悪しはない。
 ラッコだと? これは手が中に入るタイプだな。人形劇なんかで使えそうだ。……しねぇって。
 変なワニとか目つきのぼやけたうさぎ……はずれか?
 象、魚、クマ……地味なものが続くな。ぬいぐるみの福袋は地味なのか? もっとキツイの来いよ!
「これかわいい! チワワかしら?」
 みほがそう言ったのはやや大きいサイズのチワワだ。うん、これはかわいい。目が大きくてかわいい。当たりだな。
「寝転がってるクマもいいなー、かわいい♪」
 クマはポージングを取っているほうがいいな。普通に座っているだけではただのクマだ。動きがほしい。
「わ……この黒猫すごい。作りが精巧だよ」
「どれ? ……おぉ、マジだな。これは高いぞ。二千円は超えそうだ。これも当たりだな」
 外国産かな。UFOキャッチャーに入っているようなチープなものじゃない。素材もいいものを使っている感じだ。かわいいが媚びたかわいさじゃない。猫らしい堂々とした愛らしさ。俺もほしいぐらいだ。
 ……くそ、次は恐竜みたいな顔したカタツムリみたいなピンク色のもんがでてきた。なにかわからねー。そこが妙に悔しい。
「最後は例の犬な。でかいの……これ、何犬だ?」
「見たことあるけど、そうメジャーじゃないよね……雑種?」
「雑種じゃねーだろ。……ま、気になるんなら調べたらいい。俺は別にいい」
「かわいい、この犬。枕とかによさそう。なんて名前にしようかな」
「嬉しそうじゃないか。今までの福袋は開けてから後悔しかなかったもんな」
「うん。このコたち、今日からわたしの家族になるんだよ。そう思うと嬉しくて」
「本だとそうは思わないからな。まあよかったよ」
 ちょっとは普通の女の子らしくはなったか? もう駿河屋の福袋も買わないだろうよ。
 ――なんて思ったが、二日後にまたみほの、「家に来て!」という誘いがかかった。学校で。

「おぉいっ! 待て! ぬいぐるみの福袋買って二日しかたってない。ってことはだぞ、ぬいぐるみが届く前にもう次の福袋を注文してたってのか?」
「イェース、ザッツライト!」
 はまりすぎだろうよ。もうどっぷりと。
「今度はなに? もう本系はいいぞ。ぶっちゃけ飽きた」
「わたしも飽きた。一度買うといいよね。あはは、わたしの目標はやっぱりすべてのジャンルの福袋を制覇することかしらん♪」
「さらっと言うな。ちょっと異常だからそれ。じゃあなにか? トレカとか福袋でも買ったか?」
「あぁ、修一君! やるな、その通りだよ!」
「……だんだんお前のキャラ変わってね? トレカとか見たことすらねんじゃねぇのか」
中古福袋遊戯王ノーマルカード1,000枚セットの買った。それならなんとなく聞いたことあったし。あとね、雑貨の福袋っていうのも買った」
「雑貨? ……雑貨ってなによ? 漠然としすぎてて全然わからないんだけど」
「わたしもわからない」
「「でもそれが楽しい!」」
 ……やばい。またはもった。
posted by サイコー君 at 02:39 | Comment(0) | 福袋に取り憑かれた女(自作ラノベです) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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