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駿河屋の福袋

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2014年02月14日

福袋に取り憑かれた女(22)

「う……」
「おっ、おい、みほっ?」
 みほは突然、椅子から横に倒れそうになった。俺は彼女の肩を抱えた。
「あ、ごめん。ちょっと気が抜けちゃった」
「ほとんど寝ていなかったんだろう。その緊張感が一気になくなったんだ。今日は一日寝ておけよ」
「え? だって授業が……」
「こんな状態だったら授業もなにもねぇだろ。早退……いや、今のお前を家に帰らすなんてできないな。目をつむったまま自転車走りそうだ。おっかねぇ」
「あはは、そんなわたしドジっ子じゃ、ない……」
「そう言いながら寝ようとするな。……じゃあ保健室だな。おい、立てるか?」
「むにゃ、立てないよぅ……」
「世話のかかる奴……。ほれ、肩を貸してやるから。行くぞ、まさかお姫様抱っこして保健室行くわけにはいかねぇだろ」
「むにゃむにゃ、また駿河屋で福袋買いたいなー……」
「目ぇつむったままでいいから。その代わり足動かせ、足」
 子どもみてぇだ。足を引きずるようにして保健室を目指す。……ひゃー、そういや階段、どうやって下りよう。
 俺の耳元にみほの寝息がかかる。……なんか嬉しいな。俺を信用してくれるっていうか、頼りにしてもらってるっていうか。
「駿河屋ぁ……」
「はいはい、俺たちは駿河屋を愛するスルガイヤー。福袋は帰ってから何個でも買え。どうせ雑貨の福袋だろ。四百八十円だ、安い安い!」

 ――昼休み、みほは欠伸をしながら教室に戻ってきた。
「ふわぁ〜、あ〜、よく寝た」
「爆睡したみたいだな。少しはスッキリしたか?」
「あ、修一。……ありがとね、助かったよ」
「あんまり無茶すんじゃねーぞ」
「うん……あのさ、今日ウチに来なよ」
「おぉ、もしかしてあれか。とうとうアフィリエイトリンク入りのつぶやきをするとか?」
「まあね。最初っからアフィリエイトリンク乗せてつぶやいていたらさ、誰もフォローしてくれないと思ってまだやっていないんだ」
「あー、そうか。フォローとかフォロワーの話ばっかだったが。確かにツイートもある程度しておかなくちゃいけないよな。なんのつぶやきもしていないアカウントなんて、誰もフォローしたがらねーよ。じゃあ二十アカウントすべてにそこそこの記事を……」
「うん、やった。すっごい大変だった」
「そりゃ疲れもたまるわ。それ、ずっとやり続けるわけ?」
「フォロワーを増やそうと、無理にフォローはしていかないつもり。フォロー返しのツール使ってるの、実は」
「あぁ、俺も知ってるよ。確か、ツイッターを提供している会社でもそのフォロー返しツールは確か公認だったんだよな?」
「そう。だからちょっとずつだけでフォローとフォロワーの数も増えると思う。そのためにはなにか得するようなつぶやきしなくちゃね!」
「でも、二十アカウントすべてにつぶやき……しんどいぞ」
「ふふ、実はこれも試してみたの」
「なにを? だよ」
「ボット」
「ツールじゃねぇか! お前、ツールは使わないんじゃなかったのかよ?」
「ツールっていってもしていいものと悪いものがある。……たぶんボットはグレーゾーン」
「自分で言うな」
「でも、これまで使っていても凍結の対象にはならなかった。それにつぶやく間隔も六時間ほど空けてる。そうじゃないと複数アカウントなんてとても扱えないわ」
「そりゃあ二十アカウントだもんな……ホント、よくやったよ、お前は。ま、凍結されないならやったらいいさ。やってやれ、お前の駿河屋の気持ち、思いきりぶつけてみろ!」

 ――で、放課後はみほの家へ。さすがに教室で、「駿河屋が!」とか「アフィリエイトが!」なんて会話はできない。いや、ノーマルなテンションならやるが。でも、今回は駿河屋のアフィリエイトを本格的にやる特別なことなんだ。とても普通のテンションでいられる自信はない。絶対叫ぶ。そっちの自信はあった。
「ボット……便利だよな。十パターンのつぶやきを登録するのか?」
「うん、メモ帳なんかでまとめておくの。で、自動でボットをしてくれるサイトがあるからそこで複数行を選択。そうすると、一行が一つのつぶやきになるんだ。これだったら十回登録するんじゃなく、一回の登録で十パターンつぶやいてくれる。それもランダムで」
「で、同じ十パターンを二十アカウントでつぶやくわけか……考えたな。仮に一日四回つぶやいたとしても、二十アカウントで八十ツイートだ。それも自動でやってくれる。でもさ、ずっと同じつぶやきだったらさすがにフォローしてくれている人も飽きるだろ。その対策は考えているのか?」
「うん、確かに十パターンだけだったらすぐに飽きると思う。だから百パターンぐらいにするの。……格言なんてどうかしら?」
「あぁ、あるある。有名人のとか、恋の格言とか。……そうかぁー、そういうのを一定の間隔でつぶやいていた人ってボットを使っていたんだな」
「たぶんね。で、たまにアフィリエイトリンクを含んだつぶやきをするの。その割合は二割ぐらいがいいかなって思ってるんだけど……?」
「あぁ、問題ないと思うぜ」
「じゃ、登録しようか。二十アカウントっていっても、二十分もあったらできちゃう。ボットのつぶやき登録はとても簡単よ」
「なるほどなー、今までの苦労が報いてくれたらいいな」
「駿河屋の良さはよく知っている。知ってくれたら、皆だって買うよ」
「へへ、楽しみ」

 つぶやきの登録が終わると、みほが福袋を買うなんて言い出した。まあこれは前によくあったこと。――でも、今回はちょっと違った。
「うわっ! ちょっ! これ、これすごい!! ギガ福袋っ!!!」
「あ……なに言ってんだ?」
「すご、これ。駿河屋、勝負に出た。勝負に!」
「いつも勝負している店だろ」
「違う、これ見て。うまい棒千本セット!!」
「千本? ……たはぁー、やられたっ! また想像の上を超されてしまったかー」
「千本よ? 百本じゃないのよ。……一体いくらだっていうのよ。定価で買うと一万円じゃない。うまい棒、一万円まとめ買いする人なんている? いたら変態だとしか思えない。ないない! 絶対あり得ない!!」
「ギャグにも程があるだろ」
 価格は六千九百八十円。けっこう安い。
「十円のうまい棒が七円ってとこか。うまい棒って一本いくらで仕入れてるんだ? それで儲けが出てるってこと? いや、今回は完全にネタに走ったな。たぶん売っても駿河屋には利益はないぜ。あっても数百円ぐらいじゃないか。本当に客を楽しませる会社だな。……おい、どうした?」
「これ、これは……買えってこと?」
「なにが? ……まさかお前、この福袋買うつもりなんじゃないだろうな? これは今までの福袋とは違うぞ。中身はわかっている。福袋という言葉に惑わされるな!」
「いや、それこそ違う。これは正真正銘の福袋……。わたしをきっと試しているんだわ」
「んなわけないだろ」
「駿河屋がネタに走ったってことは、駿河屋を愛するわたしはこのネタを受け止めなければいけない!」
「おい、冷静になれ。ジョギングでもしてこい。千本だぞ? 誰もこんなの買わねーよ。ほら、よくあるじゃんか。二〇一四年だから二千十四万円のダイヤの福袋とか。そういうノリだよ。主催者側も売れることを期待していない。話題性を狙っているんだって」
「でも、買える。六千九百八十円なら買える……」
「買える……そうだな。確かに買えるな。だがな、うまい棒千本買いました。お前の親はどう思う? お前の友達は? ……俺もお前がこれをマジで買うと引くぞ。完全に」
「周りなのことなんて関係ない。駿河屋がわたしを試している。買う! 買わなくちゃ! いくつ……いくつ買おう?」
「待て! ……お前、今いくつって言ったよな。百歩譲って千本買うのはわかる。それでもお前はやばい奴だ。心からそう思うよ。でも、まだ許せる。だが、『いくつ』? そんなもん一つに決まってるだろうが。わかってるのか? 一つで千本セットだ」
「わかってるわよ。だからいくつ買おうか迷っているんじゃない」
「まさか……二千本買う、とか?」
「それじゃあインパクトがあまりないかもね。スルガイヤーとしては駿河屋でさえ、あっと驚かすようなそういうアクションを取りたいわ」
「おい……お前は今、ギャグで言ってんのか? あぁ? 俺を困らせて楽しんでんだろう?」
「なにを……そんなこと少しも考えたりしない」
「ギャグって言ってくれよ。もうこれ以上ついていけない。お前が壊れていくところを見たくない。千本だぞ……俺がそこらのコンビニで百本かき集めてこようか? それの十倍だ。二千本ならその二十倍。実物を見れば千本の多さがわかるだろう。そっちのほうがまだ被害が少ない。行ってくるよ、だからそれまで買おうとするな」
「ダメ……よ。駿河屋の福袋の特徴として、いいものはすぐになくなる。この福袋ももうすぐ売り切れになるわ」
「ならねぇって! セールが始まってもう何時間もたっている。でも、まだ売れ残ってんだ。その意味がわかるか? これはネタ! 買おうとする奴なんていない!」
「日本で誰一人買わなくても、わたしは買うわ」
「ちくしょう!」

 勘弁してくれ。こいつをここまでさせた原因として、俺が助長させたのも事実だ。
 とうとう壊れやがった。
「今、あるお金……三万円ちょっとある。駿河屋の雑貨福袋で稼いだお金。ヤフオクで転売したお金。これを全部使おう。やった、ギリギリで三つ買える。三千本だ。やった……クリック、注文しなくっちゃ」
 みほの手がマウスの上に移った。
「やめろっ!!」
 俺はその手を払いのける。幸い、駿河屋のサイトでは一クリックで注文はできない。少なくとも四クリックはする必要があった。途中ならどのタイミングでも、ページを閉じれば未購入となる。
「なにするの? 邪魔しないでよ」
「買わせねぇよ。あとで後悔するのはてめぇだ」
「わたしがなにを買おうたって勝手でしょ。それにこのネタをブログやツイッターに書いたら人気も出るわ。一石二鳥じゃない」
「誰が信じる? うまい棒を三千本買っただなんて……画像でもアップするのか? それなら信じてもらえるが、わたしは変態ですって言っているようなもんだぜ」
「買わして! うまい棒!」
「いいや、買わせない! せめてっ! せめて千本にしろ。三千本はまずい。学校でも問題になるぞ。お前はここの地域で生きていけない!」
「わたしは駿河屋を愛する、者……わたしが買わないと駿河屋のうまい棒の在庫も溜まるし……」
「向こうはそういう大きな倉庫持ってんだよ! でもお前んちは普通の家だろ! うまい棒、部屋に三千本入れんのか? あぁんっ? お前が病院に入れられちまうぞ!」
「それでも、わたしは買うの」
「……勝手にしろっ!」

 俺は部屋を出るときにこう言った。
「お前はもう俺の理解できない領域に入った。俺はもうついていけねぇよ。俺はスルガイヤーでもなんでもねぇ。二度と俺の前で駿河屋の話をしないでくれ」
「修一、あなたは忘れたの? 駿河屋で買った福袋の数々。あのドキドキを忘れられるの? ……もっと深みにはまりたいと思わない? 駿河道は奥が深い。これからも駿河屋だったらきっとなにかしてくれる。もっと、もっと駿河屋の魅力を……」
 聞いていられなかった。俺はみほの言葉を遮り、家を出た。
posted by サイコー君 at 22:10 | Comment(0) | 福袋に取り憑かれた女(自作ラノベです) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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